16
「蒼、有り難う」
素早く駆け寄った華憐は、蒼の血だらけの体を支えて泣きそうな顔で繰り返す。
「本当に、有り難う」
蒼は手に付いた血を服で拭い、そっと華憐の頬に触れる。
「そんな顔するなよ。俺は勝つって言っただろう。あんた、笑ってた方が可愛いぜ」
「……うん」
微笑んだ華憐は、小さく頷いてから俯いた。
「あとね、私……」
言い掛けた華憐を遮るように、紫陽が口を開いた。
「では約束を果たしましょう、華憐」
「……何を」
蒼が言い終わる前に、華憐は体を離して紫陽に向き直る。
同時に紫陽が構えた銃から弾が撃たれた。
華憐に向かって何発も、腕に足に胸に撃ち込まれる。
長い髪と鮮血が、夢のように風に舞い踊る。
時間が、止まったかのようだった。
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Reservoir Amulet