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「蒼は、見付けて。ただ一人大切な人を。そして、その人の為に今度こそ時間を、命を使って」

何も言えない、口が動かない。

ただ、透き通る彼女を抱くだけで。

言葉が、出ない。

「有り難う、蒼。私はいつも、貴方の幸せを願うよ」

最後の声が、耳元で微かに空気を震わせて。

吹き抜けた風と共に、華憐の姿は完全に消えた。

後に残るのはただ、静寂ばかり。





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Reservoir Amulet