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静寂の中、忘れ去られた夢を見る。

自分の腕からかき消えた彼女の香りが、まだ微かに辺りに漂う。

残して行った優しさが、忘れていた甘い夢を呼び起こす。

彼女の力によって封じられていた、想い出を。

城の護衛を許されたあの日、王家の人間を見付けたら誰でも殺してやろうと思って歩いていた庭に、彼女は一人立っていた。

大きな木の下に墓のように小さく土が盛り上げてあり、その前に一人ただじっと佇んでいた。

服装ですぐに王家の者だと分かったのに殺意も忘れて足を止めたのは、離れた場所からでもまだ幼い少女が泣いているように見えたからかもしれない。

やがて少女は視線に気付いたのか、ふとこちらを向いた。

『……貴方は?』

声は幼いけれど、何処か凜とした気高さも漂っていた。

泣いているかと思ったのに、その大きな瞳に涙の跡は無い。

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