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劇場にある医務室のベッドに蒼を寝かせて、二人は無言のまま紫陽に向き直った。

重い沈黙が降りる中、紫陽は静かに口を開く。

「華憐はまだ死んではいません。完全に無事という訳にはいかないかもしれませんが、彼女はまだ生きています」

「何故そんな事が分かる」

阿紋の質問に、紫陽はベッドに眠る蒼を見た。

「彼女は自分から死ぬ事を選びはしませんよ。今は」

息を吐き、続ける。

「彼の魔力は一度世界を渡った後から益々強くなっていたようですね。最も僕には魔力は無いので、響が感じたのを聞いただけですが」

「ああ」

皆の視線を受けて、響が言った。

「あまりに力が大きく、彼自身をも飲み込んでしまいそうだった。それは本人も感じていただろう。もう自分は長くはないと」

「その定めを、華憐は命を賭けて変えようとしたんです」

その言葉に、信武と阿紋は苦しそうに唇を噛む。

紫陽は沈痛な顔で更に続けた。

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