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「さあ、僕もちょっとそこまでは。そういう事は貴方が華憐に、直接尋ねたら如何ですか?」

「…………」

蒼は無言で紫陽の笑顔を見返したが、やがて目を伏せた。

「馬鹿を言うなよ。あんたが行ってやれ」

「ええ、そう出来るなら今すぐ飛んで行きますが、僕には生憎魔力がありませんから。追い掛けたくても追い掛けられないんですよ」

「まさか、華憐が向かったのは……」

黙って話を聞いていた信武が目を見張る。

「はい。この世界にいられなくなった者が向かう場所。もう一つの世界に華憐はいるでしょう」

「だが、蒼に魔力を与えたのだろう。そんな状態で向こうの世界への道を拓くなど……」

「王族には元々、非常に強い魔力が受け継がれています。華憐は幼い頃から現存する王家の者の中で最も魔力が強く、王女となるべくして生まれたと言われていました。大抵の傷なら死ぬ事なく常人よりも早く治癒しますし、多少魔力を消費しても向こうの世界へ行く位なら出来るでしょう」

紫陽は僅かに厳しい目をして続けた。

「ただ、与えた魔力は戻りませんから傷ももう完全には治らないでしょうし、自分の力ではこちらに戻って来る事も出来ないでしょう」

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