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もう戻らない覚悟で、一人向かったのか。
その力を捨ててまでも、どうして。
「そして、王家の証である魔力を失った彼女は、もう王女ではありません。王族の者はもうこの世界にはいない。貴方はもう完全に自由ですよ」
『蒼は、見付けて。ただ一人大切な人を。そして、その人の為に今度こそ時間を、命を使って』
どんな気持ちで、そう言ったのか。
蒼は自分の中に宿る暖かな力を確かめるように胸に手を当て、顔を上げた。
「……あんたなんだろ?華憐の国を、家族を奪ったのは」
敵なのか味方なのか分からなくなるような穏やかさを纏う、目の前の男を睨む。
華憐が時折見せた寂しい眼差しが、今にも泣きそうな横顔が迫るから。
どうしても知りたいと思った。
知らなくてはならないと思った。
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Reservoir Amulet