09


華憐の口調には迷いは無く、今まで国について語っていた時より力強い位だった。

蒼は信じられないまま、凛とした声に耳を傾けた。

「貴方は優しいから、私はいつまでも甘えて縋ってしまう。だけど私が側にいては、貴方は長くは生きられない。だから自由に生きて行けるように、解放したかったの。貴方をその定めから……私から。幾ら好きでも、傷付けるしか出来ない。それならせめて約束を果たしたい。貴方を解放するという約束と、生きて自分に出来る事を探すという約束を。貴方が死ぬと分かっているのに、知らない振りなんて出来ないよ。それが私のせいなら、尚更」

(参ったな……)

蒼は思わず空を見上げて髪をかき上げた。

まさか彼女から、そんな強く激しい想いをぶつけられる日が来るなんて考えてもみなかった。

ついこの前まで、ほんの子供だったというのに。

目を合わせる事が出来ないまま、低い声で尋ねる。

「……だから自分が犠牲になろうと思ったのか」

「違うよ。ただ貴方に生きてほしくて、その為に私に出来る事を探しただけ。他に方法があったかもしれない、正しいやり方ではないかもしれない。でも考えるより速く貴方の力は強くなっていたし……。貴方が隠している事を私が話す訳には行かない。話せば貴方は黙って自分の未来を受け止めて、いなくなってしまっただろうから」

- 300 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet