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華憐は膝の上できつく自分の手を握り締めて語る。

「国は私じゃなくても再建出来る人はいる。紫陽は私のしようとしている事を分かって協力してくれたから、きっとこれからは正しい統治をしてくれる。本当は優しい人だから。私は貴方が言っていたように、ただの女の子でしかない。貴方の事しか考えられなくなった時点で、私はきっともう王女である資格を失ったんだよ」

それでも、蒼はまだ信じられない思いだった。

密かに焦がれ続けた気高い王女が、こんな自分を好きでいてくれるなんて。

そんな奇跡が起きるなんて。

「……華憐が、本当に俺の事を?」

「うん、好きだよ。私は貴方にずっと惹かれていたの」

華憐の声が僅かに震えた。

「貴方が私を忘れてしまっても、伝えられて良かった。有り難う」

蒼は俯いた華憐の横顔を見た。

また記憶を封じるつもりなのだろうか。

そして一人、全てを背負って生きて行くつもりなのか。

そんな、そんな事はもう。

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