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手を伸ばして華憐の髪に触れ、そのまま引き寄せる。

そっと顎に指を掛けて上を向かせ、涙に潤んだ澄んだ瞳を覗き込む。

「もう俺は忘れたりしない。初めて会った時からずっと、華憐は俺の天使だった」

燃え上がる熱情が、こんな自分の中にもあった事を知る。

理屈でどうこう出来るものではない。

自分では止めたくても止められなくて。

辛くて切なくて、でも甘くて愛しくて。

訪れる筈は無いと思っていた恋は、ずっと此処に。

「王女でもそうじゃなくても、関係無い。今までずっと、この先も何があったって、これだけは変わらない。俺はずっと華憐が好きだ」

胸が苦しい程の情熱に、長い間忘れていた情熱に全てを任せたなら。

このまま何処へでも行ける気がする。

「……好きだぜ」

もう一度囁いて、ゆっくりと顔を近付ける。

「…………」

蒼の顔を映していた大きな瞳が、やがて静かに閉じられる。

あんなに焦がれていた存在に、こんなに近くで触れられるというのはまだ信じられないけれど。

それでも、今此処にいる証に。

想いが繋がった証に。

蒼も目を閉じて、そっと唇を重ねる。

感じ合う吐息が、確かな温もりが嬉しい。

もう二度と離れないと、誓い合えたようで。

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