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他の誰でもない、この女性にならば忠誠を。

「……ええっ?」

「何をそんなに驚いているんだ?」

唇を離して尋ねると、華憐は目を見張って言った。

「だって、今の……」

「ああ、女王に忠誠を誓う騎士の礼だ」

「蒼って、騎士だったんだよね。そういえば」

「……感動するのは、そこかよ」

息をついて立ち上がり、ベンチに座り直す。

「ごめんごめん。ちょっとびっくりしちゃって。でも、私は忠誠を誓ってもらうような者じゃないよ。国を捨てて来たから、そんな資格は無い。自分のして来た事を、許されるなんて思っていない」

何処までも強い瞳で、華憐は続ける。

「だから、どんな報いも引き受ける。蒼、貴方の忠誠はどうか、それを捧げるのに相応しい人のものに。私は……それを受けるには相応しくないの」

例え故国から遠く離れ一人になっても。

焦がれる想いに引き裂かれそうになりながら、孤独に堕ちても。

愛する者達の幸いを祈る事だけは出来るから。

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