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「……馬鹿だな」

しばらく黙ってから、蒼が口を開いた。

「俺は華憐を、ずっと側で見ていたんだぞ。優しさを強さを、戦いをずっと見ていた。その俺が言ってるんだ。少しは信じろよ」

「蒼、でも……」

戸惑うように揺れる澄んだ瞳を見詰めて言う。

「女王になれよ。華憐なら、出来るさ。もしも不安なら俺は何度でも誓う。忠誠を」

華憐が見上げる明るい色の瞳は、真剣な熱さを秘めて。

静かで力強い言葉が、心の奥にまで届いて。

「俺は、華憐の創る国を見てみたいんだ。俺に出来る限り力を貸してやるから」

「……うん」

涙が溢れ、頬を伝う。

そっと涙を拭ってくれる手を、今度は避けようとは思わなかった。

こんなに大切で、こんなに大好きな人に巡り会えたのは、何て幸福な事だろう。

この人がいてくれるなら、望んでくれるのなら。

もう二度と戻らないと決めたあの世界へ、再び向かおう。

導いてくれる優しい手を放さずに。

「有り難う、蒼」

幼い日に寂しく笑っていた貴方が、こんなに暖かく微笑んでくれるなら。

それだけできっと、傷付けるしか出来ないと思っていた自分の意味もあったのだろう。

誰かに甘えたり、縋ったりする事が許されるのなら。

前へ進んで行けるから。

潰されてしまいそうで、自分だけでは立ち上がれなくても。

隣に誰かがいてくれるなら、世界はこんなにも優しい。

知らなかった世界へと、いつも貴方は私を導いてくれる。

大好きな人だから、側にいたい。

貴方に出会えたから、私は生まれて良かった。





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