03
華憐は華憐で今まで通りに接して来るから、余計に距離を置こうとしてしまう。
ふとした瞬間に、女だと意識する自分がいるから。
(こんな様子、信武や阿紋に知られたら絶対笑うだろうな)
少し前まで子供だと言っていた相手に今はこうだと知られたら、指を指して笑うに違いない。
頭の痛い現実だ。
思わずこめかみの辺りを押さえると、蒼の苦悩は露程も知らない華憐が心配そうに訊いて来た。
「どうしたの?頭が痛いの?」
「……いや、何でもない。華憐こそ、怪我は痛まないか?」
華憐はまだあちこちに包帯を巻いている。
治るかもしれないが、もしかしたらずっとこのままかもしれない。
蒼の考えを読んだかのように、華憐が元気に言う。
「大丈夫大丈夫。歩けない訳じゃないし。それに、私が選んだ結果だから」
例え怪我が治らなくても、魔力を失っても、他の何を引き換えにしたとしても。
『貴方は生きて行ける。縛る、全てから……解放される』
自由に、生きて行けるように。
「あっ、ねえ、もうすぐ本部だよ。久し振りに皆に会えるの楽しみだね」
「おい、走るなよ。転んだら危ないだろう」
「平気平気。早く行こうよ!」
あどけない無邪気な微笑が、荒んだ心を癒してくれる。
だから、いつの間にか忘れていた尊い夢を思い出して。
いつもその輝きに救われて、目を奪われる。
大切にしたい、自分の全てで。
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Reservoir Amulet