08
その疑問を口にした途端、蒼の足が止まった。
すぐに何事も無かったかのように追い付いて来たが、一瞬立ち止まった事実は変わらない。
「どうかしたの?」
「……いや、そっちこそどうしたんだ?急に」
「急にじゃないよ。ずっと気になってたから、今訊いてみたの」
蒼が表には出さないが、かなり慌てて焦っているのが分かる。
一体どうしたというのだろう。
「前はいつも手を繋いだり頭を撫でたりしてくれたのに、今じゃろくに目も合わせてくれないし。宿の部屋だって勝手に別々にするし」
「あ、当たり前だろ。それは、だって……」
言い掛けて言葉を止め、廊下の先のドアを示す。
「ほら、着いたぞ。じいさんに挨拶するんだろう?」
「なあに?何だか不自然な話の変え方だけど」
「別にいいだろう」
蒼は素知らぬ顔で言ったが、やはりらしくなく慌てているようだった。
お互いに好きだと言い合った筈なのに、かえって距離を置かれている気がする。
色々と上手く行かないものだと思いながら、騎士団長の部屋のドアをノックする。
「はい」
ドアを開けた団長は二人の姿を見て少し驚いた顔をしたが、やがて微笑んだ。
「これは華憐様に蒼、どうなさいました か」
「突然すみません、騎士団長殿。お話があるんですが」
「分かりました。どうぞ中へ」
二人を招き入れて椅子に腰を下ろすと、団長は暖かな瞳を向けて口を開いた。
「未来は、変わりましたね。貴女のおかげです」
その言葉に、蒼がはっとしたように隣の華憐を見る。
華憐は穏やかに微笑んで首を振った。
「いいえ、私の力だけではありません。だから言いたかったんです。本当に有り難うございました。またお会い出来て嬉しいです」
「……私もです、華憐様」
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