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食後のお茶を飲みながら、しみじみと蒼が言う。

「少し前までは、この顔ぶれで茶を飲むなんて想像もしなかったのにな」

「でも賑やかで楽しいよね」

「ええ、その通りですね。華憐」

頷いて同意した紫陽の方を見て、信武が息をついた。

「まあ、短い間に色々あったしね。変わる事だってあるよね」

「ああ、そうだな。だが……華憐があんな風にまた笑っていてくれるなら、それだけでいい」

阿紋の言葉に、大碓はカップを置いて腕組みをする。

「まだ子供だって思っていたが、何だか雰囲気が変わったな。向こうの世界で何かあったのか?」

「鈍いぞ、大碓。察してやれ」

呆れたように響が口を開いた時、不意に華憐が二人の方を見た。

「大碓さん、響さん」

「お、おお」

「どうかしたか?」

華憐は真剣な瞳で言う。

「紫陽から聞きました。私がいない間、国の再興の為に動いて下さっていたと。有り難うございます」

「……大した事はしていない」

微笑んで響が答え、大碓が頭をかく。

「そうだ、礼を言われるような事じゃない。俺達はただ準備をしてるだけで、後は華憐ちゃんがやらなけりゃならないんだからな」

「はい」

力強く頷いた華憐に向かって蒼が笑い掛ける。

「だから言っただろう?華憐は一人じゃないって」

「うん!」

瞳を見交わす二人の雰囲気の暖かさは、見ている方まで笑顔にするから。

思わず願わずにはいられなくなる。

流した涙の数より多くの、幸いを。





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