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男に聞いた場所は山を越えて数日行った所にあった。

蒼はまだ怪我が残る華憐を気遣ってゆっくり歩きながら、不意に言った。

「そろそろ寝る場所を探すか」

「え?私は大丈夫だよ。日が暮れるまでにはまだ少しあるでしょ?」

「いいから、今日は此処までだ。焦ったって何にもならないだろ」

態度には出さないけれど蒼が心配してくれているのが分かったから、華憐もそれ以上反論せずにその後に続いた。

この人は本当はとても優しくて頼りになるのに、どうして普段はそういうところを隠しているのだろう。

「蒼って、いい人だよね」

思わず呟くと、蒼が驚いたように振り向いた。

「どうしたんだ?いきなり」

「だって優しいし頼りになるし。一緒にいると安心出来るいい人だなって思って」

「……それは何だか複雑だな」

華憐は予想外の返答に目を瞬いた。

「あれ?私、悪い事言った?褒めたつもりだったんだけど」

「それは分かってるが、好きな相手に言われると複雑なんだよ」

低い声でそう言った蒼は、華憐の笑顔を見て息をつく。

「まあいい。とにかく、今夜は此処で寝るか」

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