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薄暗く奥深い森を抜けた所に、それはあった。

勢い良く流れる川の向こうに見えるのは、ほとんど崩れかかった城。

「此処か」

「こんな所に城があったなんて、知らなかった」

「さっき通って来た街の奴が言うには、かつてこの辺りを治めていた貴族が住んでいたらしい。十年位前に突然家族も使用人もいなくなって、そのままだそうだ。今では気味悪がって、街の人間は誰も近付かないらしい」

「……そう」

華憐は低い声で言う。

「此処にもいたんだね。私の、王家の犠牲となった人達が」

蒼は華憐の横顔を見た。

その表情からは、心の考えは分からない。

「十年前、お父様は王家を脅かす程力を持った者を抑える為に遠くに出ていた。そうして、こうして力で抑え込んだんだね」

それは国の分裂を防いで一つに纏める為に、必要な事だったのかもしれない。

でも、それでも死んで良い命などありはしない。

「……ごめんなさい」

華憐は目を伏せて呟き、それから顔を上げる。

「行こう、蒼。今はやらなければならない事があるから」

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