desolatecity.13
ゆっくりと窓辺まで歩いて、そっとカーテンを開ける。
青い光がその姿を照らし出し、あの夢の光景が重なって蒼は目を離せなくなった。
何故か声を掛ける事が出来ない。
華憐はしばらく月を見上げていたが、やがて俯くと月の光をすくうように両手を動かした。
そして、唇が動く。
小さな声でも、静かな部屋の中では響いて蒼の耳にまで届いた。
「私はもう、死に逃げるなんて許されない。私が選んだ事で招いた結果の報いを、いつかこの身で受ける。私が……多くのものを傷付け、その生を奪ったように……」
その言葉に、荒れ果てた街の惨状が目に浮かんだ。
それを刻み付けるように見詰めていた華憐の姿も。
あれは華憐に責任がある訳ではないのに。
「生きている限り、これからも同じ事を繰り返す……。でも、そうだとしても」
白い頬を伝った雫が、月光を受けて輝きながら落ちる。
「私には逃げる事なんて許されない。……この国を守りたいから。その為に私が出来るあらゆる事をしなくてはならない」
華憐は顔を上げ、祈るように額に手を付けた。
「これが最後……。もう泣いたりしないから、どうか少しだけ、私に力を」
月に祈っているのか。
それとも空にいる誰かに祈っているのか。
その哀しき誓いを、何処に捧げているのか。
(……そうか)
- 34 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet