06


夜も更けて、華憐はようやく各地から寄せられた報告書から顔を上げた。

そろそろ眠ろうと明かりを消し、静けさに軽く息をつく。

女王になったらもう、あの頃のようにいつも一緒にいられる訳ではない。

分かっていた筈で、不満なんて無いのに。

こうして、ふとした瞬間に落ちる沈黙が切ない。

『これから先、何があっても華憐は一人じゃない』

優しい声、感じる温もりが懐かしくて。

繰り返し何度も何度も、想い出の一つ一つを取り出して磨く。

そうする事で輝きを増す、宝石のように。

『何だ、そんな事を気にしてたのか?』

これはあの日、紅零と会って自分の魔力を全て使い果たした後に蒼と交わした会話の記憶だ。

力が無くなってしまって、もう一つの世界での人々の存在を支えるという務めは果たせなくなった。

それは、これからは王家の魔力を渡された蒼が引き継ぐ事になるだろう。

意識せずに出来る務めとはいえ、王家の役目を肩代わりさせてしまうのが申し訳無くて。

頭を下げて謝ったら、蒼は軽い調子でそう言って笑った。

『大した負担にもならないんだ、気にするなよ。華憐の仕事を少しでも減らせるなら嬉しいさ』

『で、でも王家の務めは生涯果たさなければならないんだよ?ずっと縛られるのと同じだよ。それを貴方に負わせるのは……』

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