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以前は人が通らず荒れ果てていた道も、今では整えられて歩き易くなっていた。

白んで来た空を見上げて、華憐が目を細める。

「私、夜明け前のこの時間が好きだな。何だか世界中が目覚めを待っているみたいで。それに朝日って澄んでいて綺麗だし」

「ああ、そうだな」

蒼は同意してから、隣の華憐を見てふと息を飲んだ。

一瞬、輝く朝の光の中で白いドレスを纏う天使のような姿が思い浮かぶ。

「どうかしたの?」

「……いや、何でもない。それより、何処へ行くのか訊かないのか?」

「だって、後で分かるんでしょう?それに蒼となら悪い事にはならないだろうし」

無邪気な笑顔で返されて、蒼が息を吐く。

「そんなに信用されているのは嬉しいが……男としてはやっぱり複雑だな」

「え?」

「まあ、そこが華憐のいいところなんだろうな」

「なあに?何の話?」

不思議そうな華憐に向かって笑ってみせて、道の先を示す。

「ほら、もうすぐ着くぜ」

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