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蒼の家の前では、杖を手に二人を待っている老人の姿があった。
「騎士団長殿!」
華憐が駆け寄ると、優しく微笑んで首を振る。
「違いますよ、私はもう引退しましたから。元、騎士団長です。それに、今日から貴女は私の可愛い孫娘でしょう?」
そっと華憐を引き寄せながら続ける。
「実はずっと、そうなればいいと思っていたんですよ。しかし蒼は本当に困った孫で、中々貴女に対して素直になりませんでしたから。貴女のような娘さんが、蒼を好きになってくれて嬉しいですよ」
「……いつも私に親切にして下さって」
華憐は深い慈愛に満ちた声に、胸が一杯になるのを感じた。
感謝の言葉が、上手に出て来ない。
「私、本当にいつも……貴方が私のお祖父さんだったら、と」
それ以上はもう、何も言えなかった。
まるで幼い子供が祖父に甘えるように、肩に額を付けて嬉しさの涙を流す。
黙って見守っていた蒼が静かに近付いて、後ろから華憐の肩を抱いた。
泣きたい時にはいつだって泣いていいから。
歓びの涙も悲しみの涙も、二人分け合って生きて行こう。
思い切り泣いて、刻み付けたい。
生まれ落ちた日のように、誓いのように。
此処からまた、新たに始まる二人の証に。
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Reservoir Amulet