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華憐が見上げる蒼の明るい色の瞳は、深く真剣な光をたたえている。
幼い頃から、夢見る事さえ諦めていた憧れがあった。
暖かな明かりの灯る家、両手を広げて待っていてくれる家族、喧嘩をして笑い合える素敵な仲間。
大好きな、世界でたった一人と愛し合ういつか。
その全てが今此処に在る、本当に。
こんなに幸せで、いいのだろうか。
歓びが、暖かく体中を駆け巡り満たして行くから。
華憐は言葉が出ないままに、蒼を見詰め返した。
その輝く瞳だけで、蒼には充分だった。
二人は手を取り合い、陽光が眩しい外に出た。
広場へ向かって歩きながら、蒼は人々の散らす花の中で華憐の横顔を見詰めた。
心の深くでずっと捜し求めていた、自分の天使が此処にいる。
一度は本気で諦めて手が届く筈は無いと言い聞かせて。
すれ違って遠回りして、やっと此処に辿り着いた。
この美しい花嫁の隣にいるのが自分で、本当に良いのだろうか。
きちんと支えになれるだろうか。
華憐の微笑みを、生涯守る特権を得るなんて許されるのだろうか。
しかし胸にふと降りて来た不安は、こちらを見た華憐の幸福そうな微笑で全て消えた。
二人だから、きっとどんな苦難でも乗り越えて行ける。
そう信じ、もう躊躇わなかった。
交わす眼差しと繋いだ手の温もりから感じられる愛情は、何にも敵わないから。
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Reservoir Amulet