fictionstory.03


小さな自分に出来るのは、ただ笑って見送る事だけ。

けれどあの場所に近付く度に、大きくなるこの胸のざわめきは。

耳を塞いでも嫌でも聞こえて来る話は。

鋭い刃のように刺さるから。

一人きりの静かな夜が怖くなる。

このまま静寂に捕らわれてしまいそうで。

醒めない夢から逃れられなくなりそうで。

冷たい夢の静寂が、呪縛のようにこの身を捕らえて。

振り返るのを恐れたまま、何処へ向かうのか。

何もかもを捨てた身で、いつか辿り着けるのだろうか。

差し出された手の優しさを返せる強さへ。

今はまだ、弱くて小さくて貰ってばかりだけれど。

強くなりたい、全ての呪縛を振り払える程に。

いつかは、冷たい夜の向こうへ。





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Reservoir Amulet