fictionstory.04


夜の酒場は、様々な情報が飛び交う場所だ。

少し話の技術があれば、聞きたい情報を上手く引き出す事が出来る。

ただの噂話でも、その中に真実が隠されていたりするから。

耳を澄ませれば、様々な人の様々な意見が聞ける。

愛想良く人々の話相手をしながら、蒼は手の中のグラスの氷を鳴らした。

特に注意しなくても、かつて国を治めていた王家に関しての話は多く聞こえて来た。

二人が目指す騎士団本部は前に華憐が住んでいた城に近いので、本部に近付くにつれて王家についての情報も手に入り易くなっていた。

騎士団本部にいた自分があのふざけた罪状を信じなかったように、この街の人々も一人残され姿を消した王女に同情的で、今の支配者に反感を抱いているようだった。

ただもしも王女が生きているならば、何故何もしないのかという意見も多く、彼女の死が現実として受け入れ始められているようでもある。

それでもまだ、いつか王女が姿を現して女神のように全ての問題を解決してくれると信じている者も多い。

城の近くの街に住む人々が王家に希望を寄せるのは仕方無いのかもしれないが、蒼が聞いていて腹が立ってくる程だった。

王女を降臨する女神のように言う達に、その苦しみを考えてみろと怒鳴りたくなる。

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