fictionstory.05


それは自分にも全て理解出来る事では無いけれど、すぐ側でずっと見て来たから分かる。

国の惨状を目にしながら、今は何も出来ないもどかしさ。

自らを許せないまま、涙を捨て前を見据える哀しい強さ。

蒼は知っている。

華憐が女神などではなく、両親を亡くした心細い少女だという事を。

あの夜以来華憐は本当に泣いていないし、蒼が感心する位そんな顔は見せないけれど。

それでも分かる。

時折揺らぐ大きな瞳に、決して消えない悲しみがあるのは。

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Reservoir Amulet