fictionstory.06
「どうしたの?さっきからぼんやりして」
声を掛けられてはっとすると、派手な服装の若い女が顔を覗き込んでいた。
「旅の人よね?何処かに見とれるような美人がいたの?」
「……いや、そういう訳じゃない」
息を吸い込むと香水の甘い香りがした。
女は綺麗に化粧をした顔で艶やかに微笑む。
自分が美人だと分かっている女の笑い方だ。
「気付いてたかしら。皆噂しているわよ。貴方は素敵だって」
「ああ、勿論そうだろうな」
「面白い人ね。どうして旅をしているの?」
「俺の花嫁に相応しい、世界一の美女を捜す為さ」
その答えに、女は声を立てて笑った。
「あら、じゃあ私ではとても貴方のお相手は出来ないわね」
「そうでもないんじゃないか?結構良い線行ってると思うぜ」
おそらく女が期待していたであろう言葉を口にすると、香水の香りが一層強くなった。
「そうかしら。じゃあ今夜は家に来ない?」
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Reservoir Amulet