fictionstory.07


普段なら別に迷う事も無く誘いに乗る所だが、今夜は違う。

蒼は席を立ちながら言った。

「悪いな、今日は止めとくよ」

それきり振り向かずに、代金を払ってさっさと外に出る。

知りたい情報は大体手に入ったし、これ以上長居する必要は無い。

気のせいならそれで良いが、出て来た時の華憐の微笑がどうも気になった。

華憐は寂しい時に寂しいと口に出す娘ではないから、こちらが気付いてやらないといけない。

あの微笑みが壊れてしまわないよう、守ってやらなくては。

(全く、手の掛かるものを預かったよな)

子供を案ずる親の気持ちとはこのようなものだろうか。

蒼は息を吐いて髪をかき上げ、宿へ向かう足を速めた。





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