fictionstory.09


繰り返し見る夢の中の静寂に、何故か不安を掻き立てられていた頃の自分と。

華憐と会ってから、あの夢はもう見なくなったけれど。

(こうしてると、本当ただのガキなんだよな)

この姿を、先程酒場で好き勝手に噂していた奴等に見せてやりたい。

こんな子供を、死のうとするまで追い詰めた奴等にも。

蒼はふっと息をついて華憐の隣に腰を下ろした。

その細い肩を自分の方に引き寄せる。

「蒼……?」

「大丈夫だから、とっとと寝ろ。俺は此処にいる」

「別に私、蒼を待って起きてた訳じゃないよ?」

蒼は正直に言った華憐に苦笑した。

「可愛くない奴だな。俺じゃなくても、待ってたんだろ?誰かを」

今でも思い出すから。

初めてあの城で会った時、自分を見詰めた寂しい瞳。

冷たい夢に捕らわれたままの。

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