fictionstory.09
繰り返し見る夢の中の静寂に、何故か不安を掻き立てられていた頃の自分と。
華憐と会ってから、あの夢はもう見なくなったけれど。
(こうしてると、本当ただのガキなんだよな)
この姿を、先程酒場で好き勝手に噂していた奴等に見せてやりたい。
こんな子供を、死のうとするまで追い詰めた奴等にも。
蒼はふっと息をついて華憐の隣に腰を下ろした。
その細い肩を自分の方に引き寄せる。
「蒼……?」
「大丈夫だから、とっとと寝ろ。俺は此処にいる」
「別に私、蒼を待って起きてた訳じゃないよ?」
蒼は正直に言った華憐に苦笑した。
「可愛くない奴だな。俺じゃなくても、待ってたんだろ?誰かを」
今でも思い出すから。
初めてあの城で会った時、自分を見詰めた寂しい瞳。
冷たい夢に捕らわれたままの。
- 53 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet