fictionstory.10


「……そうだね。私はずっと誰かを待っていたのかもしれない」

温もりをくれる誰かを。

死ぬのは怖くない。

でもその前に、誰か。

誰かに伝えたい。

どうか、どうか。

「寝ろ。体は疲れてる筈だ」

「うん」

華憐は安心したように体の力を抜くと、やがて小さく寝息を立て始めた。

起こさないように気を付けながら、蒼がそっと毛布で包み込む。

(やれやれ、やっぱりガキだな)

間近で見る寝顔は幼く、白い肌がガラスのように儚く感じられる。

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Reservoir Amulet