fictionstory.13


そう言われて華憐も思い出した。

城を訪れる裕福な者を襲う者達が潜んでいると、この辺りは有名だった。

華憐は不安そうな顔をしたが、すぐに瞳を鋭くして言い切った。

「大丈夫だよ。王家はもう滅んだんだし、今頃この道を通る人なんて滅多にいない筈だから。それに私達は盗む程の物を持っていないと、見れば分かるよ」

「ま、それもそうだよな」

蒼も軽く同意したが、その笑顔が何故か華憐には引っ掛かった。

何かを企んでいるような笑いは、彼が時折浮かべるものだ。

何を考えているかは予想もつかないが、きっとろくな事にならないと華憐も旅の間に学んでいた。

けれど、今城を訪れる人間などもういない筈というのは確かだ。

だからそれを襲う為に待ち構える暇な人も、きっといないに決まっている。

心の中でそう結論付けて、華憐は蒼と共に山道に踏み込んだ。

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