fictionstory.14
少し進むと、道の上にまで木々の枝が張り出して二人の姿を包むように広がった。
そのせいか昼間でも辺りは薄暗く、華憐はいつの間にか蒼の腕をしっかりと掴んでいた。
特にそれを気にする事も無く飄々と歩いていた蒼が、やがて口を開いた。
「なあ、あんた。まさか怖いなんて思ってないよな?」
「何言ってるの。そんな訳無いよ」
「だよなあ、何しろゲームに出ようとしている勇ましい王女様だもんなあ。でも、だったら何で俺の腕をそんなに掴んでるんだ?ちょっと痛いぞ」
華憐はしばらく黙り込み、それから腕は放さないまま言った。
「怖い訳じゃ無いんだよ。だけど、何か出て来そうだから」
「それは怖いって事だろ。全く、素直にそう言えよ」
蒼は溜息をつくと優しく華憐の手を腕から解き、代わりにその手を握った。
「……え?」
「意地張るのもいいけどな、側に誰かいる時は遠慮無く頼ればいいんだよ。少なくとも俺はその為にいるんだから」
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Reservoir Amulet