fictionstory.15
それが出来なかったから、華憐はかつて一人死を選ぼうとしたのだろうから。
もうそんな事を繰り返させたりしない。
自分が側にいる間は。
何でも背負い込む少女だから、もう一人にはしない。
側にいられる間に、誰かに頼るという事を知ってほしいから。
「……有り難う、蒼」
手を繋いで歩く道は何処までも静かで。
何も言わなくても、ただ伝わる熱から優しさを感じて。
安らぎと慰めをくれるから。
人はこんなにも温かいのだと、当たり前の事を思い出した。
忘れていたのだ、当たり前でとても大切な事を。
今は差し伸べられた手に縋るだけの自分でも。
いつか、この優しさを誰かに返せる日が来るのだろうか。
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Reservoir Amulet