dreamland.06


少女の後ろでドアが閉まり、その音で蒼は我に返った。

(何を考えてるんだ、俺は。偶然に決まってる。夢が現実に現れる訳が無い。ただの偶然に決まってる)

心の中で自分に言い聞かせ、蒼は口を開いた。

「どのような物をお探しでしょうか。ご自分用ですか、それとも……」

ドアの前で立ったままの少女に近付いて言うと、大きな瞳が真っ直ぐに蒼を見詰めた。

「私の事を、覚えていますか?」

「……っ」

まるで心の中を読んだような言葉に思わず息を飲む。

「ええと、何処かでお会いしましたか?」

動揺を悟られないように尋ね返すと、少女はすぐに首を振った。

「いいえ、いいんです。覚えていなくて当然ですから」

寂しそうな微笑を浮かべて続ける。

「急にお訪ねした上に、変な事を訊いてごめんなさい。今日は様子を見に来ただけなんです。どうしていらっしゃるのか、ずっと心配で。でも良かった、元気そうですね」

礼儀正しく頭を下げ、ドアの取っ手に手を掛ける。

「では私はこれで。失礼致しました」

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