fictionstory.25
「馬鹿だな」
蒼は不安が揺れる大きな瞳に軽く笑い掛ける。
「俺はそんな簡単にいなくなったりしないさ。俺は強いからな。安心しろ、あんたを泣かせるような真似はしないよ」
「本当に?」
「ああ。子供を泣かせて死ぬ程、後味の悪い事は無いだろ。女なら大歓迎だが」
その言葉に華憐は複雑な顔をした。
「さっき私の事、女だって言ったよね?」
「だから仮にも、だよ。だって俺に惚れないし」
「もう、ふざけないでよ。私は真面目に話してるんだよ」
「失礼な奴だな。俺はいつも真面目だぞ」
何処まで本気か分からない口調のままで蒼が言う。
「なあ、本当に止める気は無いのか。国を取り戻す為に戦うなんて、あんたには少しも似合わないよ」
不意に真顔になると、蒼は腰をかがめて華憐の瞳を覗き込んだ。
間近に見る蒼の瞳は明るく輝いて、見とれる程綺麗な光がそこにあった。
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Reservoir Amulet