nostalgiamind.06
「口答えするな。今度という今度は、お前に騎士の心得をみっちり叩き込んでやる」
蒼の反論には耳も貸さずに騎士団長が続ける。
「大体娘を家に連れ込むとは何事だ。私はそんな事は許さんぞ。仕事もろくにしないくせに色恋にうつつを抜かすとは、全くもって嘆かわしい」
「違うって。こいつは王女様なんだ。訳あって一緒に行動する事になってさ」
「そんな見え透いた嘘を並べ立ておって、それでも騎士か」
「本当だよ。話せば分かるから」
必死で説得している蒼の様子を、見張りをしていた若者は少し離れた場所で静観していた。
「あいつ、本当に団長には昔から頭が上がらないんだよね。蒼のあんな姿は滅多に見られないから貴重だよ」
「そうなんですか?」
隣で様子を見守っていた華憐が訊くと、若者は楽しそうに答える。
「うん、そうだよ。何やったって涼しい顔でこなす奴だからね、蒼は。その蒼をあそこまで怒鳴れるのは団長位だよ。本人は幾ら怒鳴られても気にしないんだけど」
華憐はまだ怒られている蒼を見た。
短い間とはいえ共に旅をして来た身としては、また長く留守する事になった原因となってしまった身としては、此処で蒼の弁護をする必要があると思えた。
「あっ、今出て行かない方がいいよ」
若者の制止に耳を貸さずに前に進み出る。
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Reservoir Amulet