nostalgiamind.07
「騎士団長殿」
「ん?」
蒼を怒鳴る事に集中していた騎士団長は、不意に声を掛けられて怪訝そうに華憐に目を向けた。
「お話中のところ申し訳ありません。突然押し掛けた無礼をどうぞお許し下さい。また、この度の事で騎士団の皆様に多大なご迷惑をお掛けしました事を重ねてお詫び致します」
深く頭を下げた華憐を見詰めていた騎士団長の目が、驚愕に見開かれる。
城の中で護衛の為に側近く控えた時、いつも労いの言葉を掛けてくれた心優しい王女。
いつも仕えるべき相手、忠誠を捧げるべき相手。
ずっとずっと、その身を案じていた。
「……貴女は、まさか」
「はい。私はこの国の第一王女、華憐です。最も、もうこのように名乗る事は許されないのかもしれませんが」
「華憐……」
戸惑ったように名を呼んだ蒼の隣に立ち、続ける。
「どうかこの人を許して差し上げて下さい。彼は私の命の恩人です。また、此処に来るまで私をいつも守ってくれました。帰るのが遅くなってしまったのは私の責任です。後程王家の事も含め、きちんと説明させて下さい」
「……王女よ、生きておられると信じておりました」
騎士団長はそう言うと、膝をついて華憐に敬意を捧げた。
華憐も動じずに静かにそれを受け止める。
「我々騎士団は、貴女様に変わらぬ忠誠を誓います」
「有り難うございます」
厳かな空気が辺りに満ち、しばらくは誰も何も言わなかった。
それはこの国の王女が此処に降り立った事の証として、時間さえ止まったかのような一時だった。
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