nostalgiamind.08
騎士団長との話を終え、華憐は小さく息をついて用意された自分の部屋に戻った。
美野里という女性は明るく気持ちの良い性格で、色々と世話をしてくれた。
通された部屋も豪華ではないが、清潔で居心地が良かった。
それなのに何か足りない気がする理由は、もう分かっていた。
此処に、蒼がいないから。
久し振りに王女として振る舞った時に感じたのは、旅をしていた間より遠くなってしまったような蒼との距離だった。
『大丈夫だから、とっとと寝ろ。俺は此処にいる』
何故か急にあの声が聞きたくなって、華憐は立ち上がった。
(会いに行こう、あの人に)
待つだけではなく、会いに行ってみよう。
今はまだ、自由なのだから。
廊下を歩いて行くと、そんなに離れていない部屋から聞き覚えのある声が聞こえて来た。
ほっとしてドアをノックする。
「蒼、入ってもいい?」
「華憐か?ああ、いいぜ」
返事があったのでドアを開けると、部屋の中には蒼の他に二人の青年がいた。
一人は先程の見張りをしていた若者で、もう一人は見た事が無い青年だった。
「あっ、ごめんなさい。お客様?」
「気にしなくていいから入れよ。丁度あんたの事を話していたところだ」
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Reservoir Amulet