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淡々と告げられる話の内容を分かっているのかいないのか、アウローラは身動きもせずにじっと聞いている。

「私の勝手な判断ではありますが、貴女はこれ以上此処に留まらない方が宜しいかと。まずは現在の状況について知る為にも外に出て、身分を伏せて今後どうなさるか考えた方が良いと存じます。私もお供致しますので」

蒼玉のような瞳が、少しの間ライオスを映していた。

やがて、アウローラはこくりと頷いてライオスの手を握り返した。

「……宜しいのですか、姫」

確認するように尋ねると、再び頷きが返される。

それを見て、ライオスはアウローラの手を取ったままゆっくりと立ち上がった。

百年振りに寝台から出る姫を見守りながら、調子を和らげて言う。

「それでは、今後は失礼ながらローラと呼ばせて頂きますね。貴女も私にはどうか気安く接して下さい。宜しくお願いします、ローラ」

何処か頼りなく床に降り立ったアウローラが、そっと微笑んで頭を下げる。

ぎこちなさが残る笑顔は、彼女本来のものなのだろうか。

それとも、突然にもたらされた情報に胸を痛めているからなのだろうか。

外に出て、今の世界の現状を知ったら。

自分が彼女を起こした意図が、やがて知られたら。

無垢な蒼玉の輝きは、くもるだろうか。

それとも、磨かれて更に美しさを増すだろうか。

時を止めていた乙女は、再び動き出した時の中。

廻る世界を瞳に映し、何を願うのだろうか。





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