03
ライオスの視線の先で、アウローラは質素な食事をこつこつと口に運んでいる。
あまり食が進んでいないのは、足元を行く蟻の行列を熱心に眺めているからだ。
この姫にとっては、目に映る全てが新鮮らしい。
視線に気付いたのか、アウローラが顔を上げてライオスを見た。
自分が待たせてしまっている事に初めて思い至った様子で、申し訳無さそうに頭を下げる。
「構いませんよ。ゆっくり召し上がって下さい」
ライオスは微笑を浮かべて安心させるように言った。
「蟻の行列は、見ていて飽きませんよね」
こくこくと頷きが返って来る。
前に立ち寄った街で動き易い服装に改め、今は普通の少女に見えない事もない。
しかし、その純真さは全く変わらない。
この時代には当たり前になって嘆く事すら許されないと思える事実に、当然のように傷付く。
初めて二人で街に入った時もそうだった。
本当の笑顔が消え、軍服の姿が目立つ通り。
細々と開いている店に並ぶ、乏しい食材。
アウローラは、すぐに異変に気付いたようだった。
世間の事には疎くとも、人の感情には驚く程の敏感さを示す。
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Reservoir Amulet2