07
その日は、朝から雨が降り続いていた。
次の街へ向かって山を越えていた二人の行く先に、倒れている人影があった。
慌てて駆け寄り、そのひどい怪我に息を飲む。
ライオスよりも年若く見える青年の着ている衣服は、真っ赤に染まっていた。
それは雨に流され、周囲の地面にも染み込んでいる。
意識は既に無く、熱が高い。
すぐに、もう助からないと思った。
どうしてこんな傷を受けたのかは分からないけれど、これは明らかに致命傷だ。
大量の血が流れ出し、手の施しようも無い。
一番近くの街まで連れて行こうにも、何日も掛かる。
しかし、アウローラは迷わずに止血の用意を始めた。
「……ローラ」
短く声を掛けると、一瞬だけその瞳が向けられた。
まるで自分自身が傷付いているかのような、必死な眼差し。
どんなに言葉を尽くしても、彼女を止める事など出来ないだろう。
そう悟り、ライオスは溜息をついて頷いた。
「止血をしたら、雨の当たらない場所へ運びましょう」
真剣な顔で止血を始めるアウローラを手伝いながら、再度溜息を洩らす。
奇跡でも起こさなければ、この青年が生きられる筈は無い。
それはきっと、彼女自身もよく分かっている。
それでも諦めない意志で、強さで。
起こすつもりなのだろうか。
残酷な現実すら打ち砕く、奇跡を。
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Reservoir Amulet2