08


雨の当たらない岩陰に青年を寝かせ、休みもせずに看病をした。

しかし、容体はどんどん悪くなっている。

熱は未だ下がらず、意識は戻らない。

身元を示すような物は何も持っていなかったが、一つだけ分かった事がある。

青年が着ているのは軍服だ。

これは戦争の中で負った傷なのだろうか、それとも。

水で湿らせた布で青年の顔に浮かぶ汗を拭うアウローラの表情から、少しでも苦しさが減るようにと必死なのが伝わって来る。

ライオスは持ち歩いている薬を出し、口を開いた。

「もう一度、試してみます」

こくりと頷いたアウローラが少し離れると、ライオスはそっと青年の体を少し起こす。

これはただの熱冷ましだ。

傷に効くような物でもないが、熱だけでも下がってくれたら。

そう思って何度か飲ませようと試したが、もう水すら喉を通らない様子だった。

そして薬も一緒に吐き出してしまうのだ。

今度は、どうか飲んでほしい。

祈るような気持ちで、薬を口に近付ける。

横にいるアウローラも、息を詰めて見ている。

その気持ちが通じたのだろうか。

苦しげな呼吸の合間に、薬は水と共に青年の喉を下った。

アウローラはほっとした顔で、ライオスが再び横たえた青年に近付く。

「恐らく、今夜が峠でしょうね」

少しでも快方に向かってくれれば良いのだが。

小さな白い手が、青年の手を握るのを見ながら呟いた。

奇跡は、起こるのだろうか。





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