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そして、途切れ途切れに呟いた。

『……ああ、俺は……やっぱり死ぬんですね……。女神様……』

『……っ』

息を飲んだアウローラを見詰め、祈るような言葉は続いた。

『あんなに、沢山……人を殺したから……。きっと俺は……救われない。でも、それでも……懺悔します……。臆病者でも、裏切り者でも……戦争は嫌だ。人を殺すのも、もう嫌だ……。心から、後悔しています……』

振り絞るような声。

全ての力を使い切る魂の叫び。

だから、剣よりも強く痛く胸を貫く。

『女神様……。どうか、救って下さい。俺じゃなくて……俺が殺した人達の魂を……。どうか、お救い下さい……』

貫く言葉は真っ直ぐに。

奥底まで、根底まで達する。

どんな武器を以てしても、この強さには及ばない。

激烈なまでに、心を動かす。

『女神様。俺は……平和な世界に、生まれたかった』

『……っ』

きつく手を握るアウローラが見る中で、青年は力尽きたように目を閉じた。

どんなに待っても、その唇が再び開く事は無かった。

女神と呼ばれ、祈りを聞いた彼女は何を思っていたのだろう。

目の前で失われて行く魂を救えない自分を、責めたのだろうか。

無力な自分を悔やんだのだろうか。

助けたくて、護りたくて。

願ったのだろうか、望んだのだろうか。

強い力を。

残酷な現実を打ち壊す程の力を。





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