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直接目にしてしまったから、どうしようもなく胸を揺さぶられる。

悪足掻きだとしても、止められない。

狂った世界、歪んだ理。

それを生み出したのが、人であっても。

変えて行けるのも、また人であると。

「……まだ、光はあると信じたい」

諦める為に旅に出た筈なのに。

信じたいのだ、本当は。

信じたくて、信じさせてほしくて飛び出したのだ。

臆病者でも、裏切り者でも。

何と言われようと、構わないから。

「…………」

不意に、背中に温もりを感じた。

何も言わずに寄り添うアウローラの息遣いが分かる。

言葉にしない心が伝わって来る。

私も信じてると。

貴方と同じだと。

体温が、呼吸が伝えてくれる。

ああ、分かってくれるのか。

綺麗事だ、馬鹿馬鹿しいと片付けられる考えを。

誰にも話せなかった事を。

痛みを分け合える誰かが側にいてくれるだけで、こんなにも温かい。

暖かなものが、触れ合う部分から流れ込んで来る。

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