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思わず苦笑を洩らしながら、安心させるように微笑んでみせる。

「分かりました。置いて行ったりしませんから、そんな顔をしないで下さい」

そう言ってから、僅かに低い声で付け足す。

「向こうへ渡る手段が、他に無いという訳では無いんです。ただ、それには問題が……」

その時、歩いていた人気の無い道の向こうに誰かが立っているのが見えた。

はっとして足を止める。

彼らの目的は、すぐに分かった。

もう此処まで来ていたか。

目が合う前に、素早く向きを変える。

「……?」

「少々走りますよ、ローラ」

返事を待っている暇も無かった。

並ぶ建物の間を、小さな手を引いて走り出す。

後ろから、止まるように促す怒声と足音が追い掛けて来た。

気付かれてしまったか。

危険は増して行くと予想はしていたが、もう此処まで手が伸びているとは。

こうなってしまっては、逃げ切るのは難しい。

何とか、アウローラだけでも。

考えながら建物の間の細い路地を駆け抜け、とうとう目の前を壁がふさいだ。

行き止まりだ。

引き返そうと振り向くと、息を切らした追っ手が立ちふさがった。

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Reservoir Amulet2