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「……っ」

二人の反応を楽しむように、ルセスは僅かに唇の端を上げた。

「そんな話を途中で聞いた。お前が好みそうな話だと思って辿ってみたら、案の定足取りが分かったという訳だ。ただの御伽噺だと思ったが、本当だったのだな」

自分の思考が何から何まで読まれているようで不愉快だ。

しかしライオスは内心に反して微笑を浮かべる。

「一国の王子が、随分お暇なようですね。私がいなくなった事で、より多忙になった筈では?」

「そう言うな。私もお前の価値は認識している。だから無茶をするなと告げに来たのだ」

「それは、わざわざどうも。優しさに涙が出ますよ」

ルセスは嫌味に気分を害した様子も無く、再び背を向けて歩き出した。

その後を追いながら、アウローラが何かを言いたげな瞳で見上げて来る。

何が言いたいのかは、すぐに分かった。

「いえ、違いますよ。兄と私は仲良くなんてありません」

「…………」

「似た者同士?何処がですか?全く似ていないでしょう」

「…………」

そう返しても、アウローラは上機嫌で楽しそうに歩いている。

一応これから罪人として扱われるというのに、分かっているのだろうか。

ライオスは心配になりながらも、前を行くルセスを見て決意を新たにする。

兄が此処まで来たのは予想外で不愉快ではあるが、何とか無事に国まで戻れそうだ。

一時は二度と帰らない覚悟で飛び出した国。

しかし今は、自分の信じるものの為に戻る必要がある。

やらねばならない事がある。

だから、これまで背を向けて来た事にも向き合おう。

諦めるつもりで始めたこの旅で得たものは、確かに在る。

今も顔を上げさせてくれるから。





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