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私は女神じゃない。

何の力も持っていない。

そう訴える心の声を感じて、ライオスは微笑んだ。

嘲りも諦めも含まない、本当の笑顔。

アウローラと出会ってからだ。

こんな風に自分も笑えるのだと思い出したのは。

「力なんて、いりませんよ。貴女はただ、そこにいてくれるだけで良いんです」

「……っ」

はっとしたように息を詰めた乙女に、ゆっくりと語り掛ける。

「私が貴女の眠る城へ行ったのは、戦争を知らない姫に会いたかったからです。最初はあまり信じてもいませんでしたが、本当に貴女はいてくれた。穢れ無い美しい魂のまま、いてくれたんです。私がどれ程嬉しかったか、分かりますか?」

その瞳に残酷な世界を映す度、いつか希望が潰えてしまうのではないかと恐れて。

連れ出す事に躊躇もあった。

しかし、彼女は全く変わらなかった。

どんな景色を現実を映しても、穢れ無き美しい魂のまま。

笑ってしまうような幻想を、理想を手放さない。

だからこそ、希望は真実の光へと成長を遂げる。

蒼玉の光は磨かれ精錬され、いよいよ輝きを増して行く。

「貴女はそのままで良いんです。貴女のまま、信じる事を強く思っているだけで良い。それだけで世界の力となれるのですから。特別な力なんて無くて良いんです。ただ貴女の美しい想いが在れば、少しずつでも何かが変わって行くでしょう」

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