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「…………」

「私達が出会った時の事、ですか?」

大人しい姫の考えを読み取ろうと、目を逸らさずに言う。

「ああ、口付けで貴女が目覚めた時ですね」

「…………」

益々赤くなるアウローラを見て、成程と納得する。

「今まで忘れていた訳ですか」

口付けで目覚めるとあらかじめ告げられていたというのに、今までそこまで考えが及ばなかったらしい。

そんなところが、何処までも彼女らしい。

「貴女を起こす為とはいえ、あの時は失礼しました。しかし、どうして突然思い出したんですか?」

「…………」

「夢で見た、ですか?」

アウローラは息を吸い込んで、ゆっくりと語り出した。

「私、眠っている間にずっと夢を見ていたの。美しい世界を夢見ながら、いつか起こしに来てくれる人を……貴方を、ずっと待ってた。だけど、少し怖さもあって」

ぽつりぽつりと紡がれる、百年の夢の孤独。

ライオスはその言葉に、静かに耳を傾けた。

「まだ、此処にいたい。眠りの中、夢の中……何も知らず何も見ずにって思ってた。私が夢見てた幻想を、穢れの無い幻想を、貴方は笑うかもしれないって」

「笑ったりしませんよ。幻想を抱いているのは、私も同じですから」

「ええ。だから、嬉しくて」

初めて見せる恥じらうような微笑を浮かべ、アウローラは続けた。

「私を目覚めさせてくれたのが、ライオスで良かった。有り難う」

真っ直ぐに告げられた言葉に歓びを覚えながら、微笑み返す。

「こちらこそ、有り難うございます」

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