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動揺に気付かない振りをして顔を寄せる。

以前自分から身を寄せて来たアウローラは、今は逆に離れようとする。

「どうしました?何だか顔が赤いですね。熱でもあるのでしょうか」

「…………」

黙ったまま激しく首を振る様子に、思わず笑みが洩れる。

「可愛いですね」

「……!?」

「あれ、言った事ありませんでしたっけ?貴女は可愛いですよ、とても」

「……っ」

アウローラが慌てて距離を置こうとするが、ライオスはそれを許さなかった。

「一体どうしたんですか?もう大分暗いですし、近付かないと顔がよく見えないでしょう」

腕を華奢な体に回し、耳元で囁き掛ける。

「ローラ。先程は貴女が眠っていたので額にさせて頂きましたが……。もう一度、口付けしても良いでしょうか。私達が出会った時と同じ、唇に」

あれが二人の始まりだったのなら。

交わす口付けを、始まりの証として。

「今後は従者としてではなく、貴女を愛する者として側にいたいのです」

「…………」

深い瞳が、自分を映す。

静かに降りる紺青の帳の中、海の力強さと湖の静謐さを秘めた。

愛しい光が、下りる瞼に隠れる。

やがて触れ合った唇は、以前よりも遥かに甘く熱く。

あの目覚めの瞬間には予想もしていなかった、甘美な夢を見せる。

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