02
いつも質素な衣を着ていた彼女だが、今は違う。
淡い色合いの見た事も無い形の衣の上に、白く薄い羽織のような物を着ている。
耳には小さな飾り玉が光り、首にも細い首飾りがあった。
表情もあの頃よりずっと大人びている。
しかし間違う筈は無かった。
その顔も声も、彼女だ。
間違える筈が無い。
彼女が自分を見ても何も言わないのが不思議だけれど。
体を起こそうとして、周りの様子もおかしいと気付く。
辺りはほとんどが白く、寝かされているのも妙に高く柔らかな台の上だ。
更に驚いた事には自分自身が、体にまとわり付くような薄い布の衣を着ている。
合わせも帯も無く、前の方で丸い飾りで留められている。
「……此処は、地獄か?」
それにしては、どうも変だ。
体を起こして尋ねると、娘は首を振った。
「いいえ。此処は日本。貴方がいた所と、場所自体はそんなに変わらないと思います」
話しながら立ち上がり、掛けられていた白い布を横に動かす。
- 18 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
表紙へ
ページ:
Reservoir Amulet2