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「それでも神無は泣きながら笑って……僕を許して……死んだんだ」
一筋こぼれた涙は、炎を映して朱く朱く染まり。
『ねえ、氷月……。貴方は幸せに、生きてね……』
許す言葉は刃より強く胸を打ち。
動かない体を抱いて、泣いて叫んで。
世の無情を、神を、何よりも自分自身を憎んだ。
あの狂おしい朱の記憶。
「僕に氷月という名前を付けてくれたのも神無だ。その前は……朱月【しゅづき】と呼ばれていた。僕は馬鹿だ。思い出すのが遅過ぎた。失ってから思い出して悔やんだって、何にもならないのに」
深く息を吐き、吸い込む。
「死んでも良いって、死んだって思ったけど……。その後気付いたらこっちにいて、あんたがいた」
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Reservoir Amulet2