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胸が締め付けられるのは、何故だろう。

一人で廊下を歩きながら、神無は視線を落として自分の胸を押さえた。

こんな感覚は以前からあった。

けれど、最近はかなり強い。

まるで自分の内側から、違う誰かが呼んでいるようで。

(違う誰か……)

考えていた事を繰り返し、ふと立ち止まる。

自分とは違う誰か。

本当にそうだろうか。

もしかしたら、これは。

「……神無?」

不意に名前を呼ばれ、はっとして顔を上げる。

廊下の先には、氷月が立っていた。

「何してるんだよ。そんな所に突っ立って」

言葉遣いは素っ気無いけれど、それでも分かる。

氷月が心配してくれているという事が。

だから神無は笑顔を作り、先程鏑にしたのと同じ返事を返した。

「いえ。何でもありません」

「……ふーん、なら良いけど」

納得が行かない顔をしながらも、氷月は無理には訊いて来なかった。

こういうところが、優しい。

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