04
胸が締め付けられるのは、何故だろう。
一人で廊下を歩きながら、神無は視線を落として自分の胸を押さえた。
こんな感覚は以前からあった。
けれど、最近はかなり強い。
まるで自分の内側から、違う誰かが呼んでいるようで。
(違う誰か……)
考えていた事を繰り返し、ふと立ち止まる。
自分とは違う誰か。
本当にそうだろうか。
もしかしたら、これは。
「……神無?」
不意に名前を呼ばれ、はっとして顔を上げる。
廊下の先には、氷月が立っていた。
「何してるんだよ。そんな所に突っ立って」
言葉遣いは素っ気無いけれど、それでも分かる。
氷月が心配してくれているという事が。
だから神無は笑顔を作り、先程鏑にしたのと同じ返事を返した。
「いえ。何でもありません」
「……ふーん、なら良いけど」
納得が行かない顔をしながらも、氷月は無理には訊いて来なかった。
こういうところが、優しい。
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Reservoir Amulet2